笑顔の向こう側 ~先生とわたしの軌跡~
先生が身支度を始めた

『先生どっか行くの?』

『夏海を送るの』

先生は着替えをして
いつもの先生になった

先生は鍵を持って

『行こっか』

と言った

とても幸せな時間

小さい頃
サンタクロースを
待ちながら眠ると
朝には枕元に
プレゼントが
置いてあった

今はサンタクロースを
信じなくなった

だけど、わたしは
もう一度サンタさんを
信じた夜だった

昨日降った雪は
跡形もなかった

『終わったら電話して。迎えに行くから』

そのへんの
カップルのような会話

『うん。わかった』

また夕方には先生に
会えるんだ

嬉しさで胸が
いっぱいだった

家の前で車から降りる
わたしの目を見て

『楽しんでこいよ』

と先生は言ってくれた

『うん。終わったら
電話するね』

そう言って、わたしは
車から降りた

そして、先生の車が
見えなくなるまで
手を振った
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