笑顔の向こう側 ~先生とわたしの軌跡~
『黒木夏海』

『はい』

先生が呼ぶわたしの名前

校長先生から
卒業証書をもらう

自分の座っている
位置に戻ると
わたしは限界だった

涙がどんどん溢れてきた

先生はわたしの
涙のわけを知っている

心配そうにわたしを
見ていたのがわかった

卒業式のよくある涙
じゃない涙

先生だけが知っていた

『夏海、そんなに
泣かないでよー』

とみどりや他のみんなに言われたけど
わたしの涙はみんなの
涙を誘った

凌は送辞を言っていた

そんな事も耳に入らず
わたしは泣いていた

後から聞いた話では
とても感動的で
素晴らしい送辞
だったらしい

ごめんね、凌

聞いてあげられなくて
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