初恋-はつこい-
真由の目から

大粒の涙が溢れ出る。


その姿を見て

勇二は我に返り

顔を真っ赤にさせた。


「あ、菅野……。ごめんな」


うろたえながら勇二が謝る。


真由はうつむきながら

首を左右に振った。


「ううん。大丈夫、だから……」


真由はひくつきながらも

勇二に心配を掛けまいと言った。


それがさらに勇二の心を

揺れ動かした。


「本当にごめん。

 でも、さっき言ったことは

 嘘じゃねーから」


勇二は真剣な表情で

はっきりと伝える。


そして真由の肩に

そっと手を掛けようとしたが、

ためらいすっと引っ込めた。



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