114歳の美女
 吉のはしのぶに出会うなり、手を差し出した。

 「あっ、アレですか」

 しのぶが智也の帰宅時刻表を手渡した。


 「今週は赤丸2回と、後は深夜のご帰宅どすか。いよいよ、時節到来。好機遠来」

 吉のが帰宅時刻表を見てにんまりとした。


 「お義母さん、いったい何を」
 「細工は流流仕上げを御覧じろ」


 吉のは得意満面。笑みが津波。

 「どう仕上げるのですか」

 しのぶは納得出来ない顔。


 「仕上げを御覧じろ。すぐに、分かるから。楽しみにしとき」


 吉のは思惑通りに物事が進む事に、大いに満足していた。


 (男とは浮気で単細胞な生物。性に飢えれば、性を貪る。これが、男のサガ。ただ、それだけの事。あては、当たり前の事を試しただけ。この試みを通過して、ときに真の愛を示した男だけが、村島家が許す夫となれますのや)

 吉のは目を閉じた。


 (星田。あんたは村島家の夫には、失格どす。だから、あてが引導を渡しますのや)


 吉のは次の一手を打つ決意を、智也の帰宅時刻表を見て、ついに固めた。



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