114歳の美女
 可笑しい。



 「まさか・・・。そんな事があろうはずが無い。だって・・・」

 ときは4年前に俊介と交わって以来、男を寄せ付けていなかった。



 「4年も前なのに・・・。うちは人と違う。歳を取るのが、桁外れに遅い。きっと、遺伝子が特別なんやろ。そやから、今頃になって、精子が卵の中に入り、気まぐれに受精したとしたら・・・」



 「うちには、精子と卵子を長期保存出来る特別なメカニズムが備わっているのかも・・・」





 「そんな馬鹿な」



 ときは、途方も無い推論を慌てて打ち消した。



 「遅れているだけどす。きっと、そうに、違いおへん」



 ときは月のモノの遅れを、出来るだけ気にしないように意識的に努めた。


 そんなある日。
 ときは『café昔昔』に出かけた。
 『café昔昔』は閉まっていた。
 扉に貼り紙がしてあった。










< 289 / 321 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop