114歳の美女
 114年の歴史の中で、初めてのプロポーズ。それも、橋の上で、いきなり、思ってもみない言葉で。


 結婚に憧れた時もあった。が、ときは自分の奇異な成長、母の遺言を考えて、普通の結婚を諦めていた。というより、その思いを自らの意思でねじ伏せていた。


 それが、こんな形で・・・。


 「星田はんはいけずどすな。うちを翻弄させはって」

 「ご免なさい。そんなつもりはないのですが・・・。でも、一度真剣に考えてもらえますか」

 「真剣どすか」


 「返事は次会う時で結構です。それまで、よく考えて下さい」

 「へえ・・・」


 結婚の返事を次回に延ばし、二人は『おこぼ』へと帰って行った。





< 95 / 321 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop