君のためなら
「雛奈!?急にどうしたん!」

「うっ・・・澄花~・・・」

雛奈は泣きながらあたしに抱きついてきた。

よっぽど愛美が怖かったんだろう。

「どうすればいいかわかんないよ・・・。そうじ場所やだぁ~・・・」

「・・・雛奈・・・」

しばらくあたしは雛奈の頭をなでた。

あたしにはそれぐらいしか出来なかった。

「大丈夫?」

「・・・んっ」

「そろそろチャイム鳴るけど・・・どうする?」

「・・・あたしはさぼる。けど澄花はいっていいよ」

「でも・・・」

「少しだけ一人にさせて?」

「・・・分かった。あとでくるからね?」

「うん、ありがと」


あたしは雛奈のもとを後にした。

「朽木!」

「秦くん・・・」

「雛奈ちゃん、大丈夫だった?」

「うん、もう大丈夫だよ」

「そっかーよかった~・・・。あ、あのさもしかして雛奈があんな風になったのって俺のせい・・・?」

「え、・・・と」

「俺わかってんだよ。愛美ちゃんのことだろ?」

知ってたんだ・・・

「雛奈ちゃんめっちゃ苦しんでんだな・・・」

人事みたいに・・・。

あたしは知らぬ間に大声で秦くんに怒っていた。

「気付いてるんだったらなんで助けてあげないの?雛奈は秦くんのことで泣いてるんだよ?悲しんでるんだよ?苦しんでるんだよ?わかってるんだったら助けてあげてよ!」

周りにいた人があたしたちの方を見る。もちろん愛美も。

あたしはそんなのおかまいなしに我を忘れて言い続けた。

「これはあたしがどうこう言って解決できる問題じゃないの!秦くんが変わんなきゃ!秦くんはどうしたいの!?愛美のこと。雛奈のこと。秦くんが動かなきゃこのまま一生終わらないよ!?それでもいいの?」

そこまでゆうと秦くんは3階へ走っていった。

あたしははぁはぁ息をしていた。

そしていつの間にか泣いていた。
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