《短編》空を泳ぐ魚2
ⅩⅡ
数日後、担任教師から、清水の就職先の変更を告げられた。


あの日嬉しそうだった理由は、もしかしたらこれだったのかもしれないが。


白タイツは、きっと新人歓迎会か何かで使うのだろうと思うようにしておいた。


だけど俺には、そんなものがどこに売ってるのかなんて、見当もつかなくて。


呪いのことはよくわからないが、解けたのならば良いのだろう。


相変わらず、無視されっぱなしな俺。


だって、しょーがねぇじゃん。


来ると思わなかったから気を抜いて食ってたってのに。


今度からは、玄関を開ける前に机の上を片付けようと誓った。


程なくして清水は、期末テストの答えを聞きに俺の家にやってきて。


テスト様々なのかもしれない。


しかし卒業される前に、何としても付き合わなければ、

ホントに俺は、用済みにされてしまう恐れもある。


なのに口説けば耳を引っ張られ、あんまり言うと無視されちゃうし。


どうしたもんかねぇ。






「ちょっと!
寝転がってないで、少しは手伝いなさいよ!!」



期末テストが終わり、すぐに冬休みになった。


俺の家に来た清水は、さすがに焦った様子で課題を広げてこちらを睨む。



「これ全部出さないと、あたし卒業出来ないじゃん!」


「…大変だねぇ。」


棒読みで言う俺に、清水は少し賢くなったのか瞳を潤ませて俺に抱きついてきた。



「…和樹だけが頼りなのぉ!
ねぇ、助けてよぉ!」


「―――ッ!」


わかっていても、この攻撃はかなり効く。


ここで折れてエッチしちゃえば、俺は強制的に手伝わされるんだろうしなぁ。


でも、この顔ヤバいしなぁ。


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