放課後の視聴覚室は密の味
甘い課外授業



開けた窓から

雨が降り始める前の、土のような木立のような…そんな独特な匂いが漂ってくる視聴覚室。

僕は、少しだけ湿った空気に不快感を覚えながら、廊下に聞き耳を立てた。


しばらくすると、パタパタと廊下に響く足音は、僕の居るこの部屋の前でピタリと止まった。


僕は次に開くであろうその部屋の引き戸に注目すると、


そろそろと開いた戸から

「失礼します」

と、奈菜は乱れた呼吸を整えながら顔を覗かせ、部屋を見渡した。


僕を見つけると、今にもはみ出しそうな笑顔を向けて、僕の傍に駆けよる奈菜。

「先生、待たせてごめんね。
教室を出ようとしたところで、みっちゃんに足止めされちゃった」

そう屈託なく笑った奈菜を、
僕は引き寄せ、自分の膝に座らせると、

まだ少し息が上がって、呼吸と共に小さく上下する奈菜の肩を包むように後ろから抱きしめた。
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