ルチア―願いを叶える者


「…不器用な奴だな、お前は本当に」

「あなたに言われるまでもありませんよ…」


自分の事だ、自分が一番わかっている。


「…花音が目覚めたら、ちゃんと話せよ」

「俺の話を聞いてくれるでしょうか…」

「お前らしくない。なにがなんでも仲直りしてこい」


俺らしくない…ですか。
確かに…


「押さえつけてでも聞いてもらいますよ」


でないと、俺が耐えられないみたいですから…


「花音………」


だから早く目を覚まして下さい。


俺が壊れてしまう前に…


花音を抱きしめる手に力を込めた。


その存在を確かめるように…









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