ルチア―願いを叶える者


「アル…ごめんねっ…ずっと一緒にいられ…なくてっ…」


この人を置いていってしまう…
これが心残りで仕方ない。

お母さんも、同じ気持ちだったのかな…


「あなたは一人じゃないから…」


だから、また前を向いて欲しい。


「いつか、私が…思い出に…なった…としても…アルの…幸せだけを…願って…るから…」


私が、愛した人の幸せを…
この人が笑っていられますように…


「花音…俺は…あなたが隣にいてくれなければ…幸せになど!!」

「お願い…アル…。幸せに…なって…。私の…分まで…」


あぁ…もう時間が無い。
お別れする時間すらちゃんと無いなんて…


「ルチア…の力…よ…」


私の体が、光を帯びる。


「花音っ…逝かないで下さい!!俺はただ、あなたと生きたい!!」


その願いは…
叶えられない。叶わないんだよ…アルっ…


涙がいっぱいになって、ボロボロと流れ落ちる。


「約束したではありませんか!!一緒にっ…泉をっ…」


涙を流すアルの頬に手を伸ばす。


「泣か…ないで…」


笑ってなんて無責任な事、言えないけど…


そんな顔されたら、安心して逝けないよ…


「アルと…この世界で…出会えて…良かった…」


ありがとう…神様…
ありがとう、皆。
これが、この世界で願う、最後の祈り…


皆が傷つけ合わないように…
今度こそ、人の力で生きていけるように…


私は永遠の幸せをベレスレリアに願う。


「私の…大切な世界を…守って…戦いを、終わらせて!!!」


―パァアアアアッ


私の最後の祈りが届いたのか、体から光が放たれた。

―ドクンッ


「あぁっ!!!?」


最後の命の花びらが散り、私の体が消えていく…


「これで…だい…じょう…ぶ…」


争いは…終わる…


「これ…からは…皆…手で…未来…を…創って…」


幸せな…未来を…
私は…願う…………



「花音ーーーっ!!!」

「さようなら…アル…」


大好きだったよ…
私の、愛しい人………











< 398 / 403 >

この作品をシェア

pagetop