恋人のルール(ベリーズカフェバージョン)
彩乃の話を聞いていくうちに、呆れたような表情になった涼は額に手を置いて、大きくため息を吐いた。


「……ナナは実家で飼っているセントバーナード犬の名前だよ」

「えっ……」

「それに完全にお袋の勘違いだ。電話で見合いを勧められて、付き合っている人がいるって嘘ついたんだ。たぶん、お袋はせっかちだから、それを結婚に結び付けたんだ。俺に結婚の予定はない」


今にも吹き出しそうな顔で涼は彩乃を見ている。


「涼ちゃん……」


勘違いしてたの?あたし……。


「彩乃、俺に恋人がいると思って、心の整理をしようとしたのか?それとも、別れた彼氏を裏切ったような気分なのか?」


涼の長い指がふんわりと彩乃の髪に触れる。

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