珈琲の香り
待望の夏休み!イェーイ!!

……なんて喜んでみたものの、結局やることは夏休み前と変わらず……


「…これ、3番」

「はーい!」


朝から涼風でバイトで……


「…いいのか?」

「いいのか?って、何がですか?」

「何がって、蒼……」

「んー……」


……良くはないと思う。

思うけど……


涼さんのコーヒー、飲みたいし、バイトは楽しいし……

それに『気にしないで』って蒼くんが言ってくれるし、蒼くん自身も色々あるみたいだから、午前中は涼風で過ごしてる。




「大丈夫。蒼くん、後で顔出すって言ってたし……」

「…そうか」



きっと、付き合い始めた頃って、もっと一緒にいたい、離れたくないって思うんだと思う。

だけど、私にはその辺の気持ちが欠落しているみたい。

そりゃ、“会いたいな”とかは思うけど、“嫌われたくない”とか、“思ってたのと違う”と言われるのが怖くて、素の自分を見せることができない。

だから変に緊張しちゃって、蒼くんと二人になることが……ちょっとだけ辛かったりする。


「はぁ~……」

「…幸せ、逃げるぞ」

「むぅ…逃げないもんっ!」

……涼さんとは緊張しないのに。

こうやって、ため息ついたり、何も考えないで笑ったりできるのに…。

何で蒼くんとは無理なんだろう?


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