桜が求めた愛の行方

『誰か迎えに来るの?!』

リビングのソファーで、電話をしていた
彼が《しいっ》と人指し指を唇に当てる。

『ごめんなさい……』

『……そうだな、そうしてくれ。
 ああ頼んだ……わかった、何かあれば
 携帯に連絡してくれ。じゃあ』

ふう、と息をついて携帯をおいた勇斗が、
おいでおいでと呼ぶ。
素直に傍に行くと、腕を引かれて
膝の上に乗せられた。

『ゆうと?』

間髪入れずに唇が重ねられて、濃厚なキス
が言葉を飲み込む。
明らかに先程とは逆の、主導権を握った
いつもの情熱に火がついた。
息継ぎさえも許されず、すぐに舌を
深く差し込まれて、貪るようなキスに
夢中でこたえた。
彼はいつだって、私の求めているものを
わかってくれる。

『ゆうと……時間は?』

『大丈夫だ』

唇で首筋をなぞられ、きつく吸われて
甘い痛みに肌が粟立つ。

『ごめんなさい』

『謝るな』

コツンと額をくっつけられた。

『でも、ごめんなさい』

わがまま言って困らせたかった訳じゃ
ないのに、結果的にそうさせてしまった。

『あーもう!』

ぎゅっと抱きしめられてから服を直される。

『えっ?』

『ったく、結局おあずけだよ』

そう言って、膝から下ろされてしまった。

『さくら、コーヒー淹れて』

『でも……』

『いいから早く!』

『はいっ』

お尻を叩かれ、睨まれて
さくらは慌ててキッチンへ向かった。


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