桜が求めた愛の行方
ー30分後

『これがいいわ』

さくらは本当にそれが気に入ってしまった。
ふらりと入ったデパートの一階にあった
老舗海外ブランドの宝石店。

先ほど行こうとしていた店よりは
手ごろな価格帯なものがあるが、
決して安価な訳ではない。
渋々のつもりで覗いたショーケースで
こんなにいい出会いがあるなんて。
それにこれなら何とか自分で払えるわ。

『どうぞ』

初老の店員がケースからそれを出した。

『サイズもちょうど良さそうですよ』

勇斗を見ると、はめるように視線で促された。

『とてもよくお似合いです』

鏡を向けた店員がにっこり笑った。

プリンセスカットのダイヤモンドは
シンプルだけどエレガントなデザインで
とても品がある。
おばさまだって、これを見たらきっと満足してくれるはず。

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