桜が求めた愛の行方
まったく……自分に呆れた。
こんな可愛い女が側にいたのに、
どうして気付かなかったのだろう。

『呼べよ』

額や頬にキスをしながら囁いた。

『やっ……』

耳にキスして耳朶を食みながら
低い声で囁くようにねだる。

『さくら、俺を呼んで』

『ゆうとぉ……』

ずるいと言ったさくらの言葉は正しい。

切ない声で呼ばれて、自制の箍が外れた。

沸き上がる焦燥感と征服欲が、
押さえつけようとする自制を振り切り、
行為を逸らせる。

いったい全体、俺はどうしたんだ?

さくらが相手だと、
まったく自制がきかないなんて……
自嘲して苦笑った。

『どうしたの?』

さくらが不思議そうに見上げてくる。

『俺ってこんな強引やつだったかな』

すると、さくらは左手を上げてくるりと
掌を返して光る指輪を目の前に見せた。

『違うの?』

優しい瞳で笑われる。

『まったく…』

これからこいつには、きっと敵わない。
手をとってその指先にキスをした。

『動いていいか?』

うなずく細い腰を押さえて、
ゆっくり浅い動きを繰り返す。

さくらは、俺の首に両手を巻きつけ離れようとすると、しがみついてくる。

『おまえ、可愛いすぎだろ』

『もぉ…また…おまえ?』

勇斗は笑って、
瞳を閉じたまま皺を寄せた眉間に口付けた。
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