桜が求めた愛の行方

4.兄弟

昨夜のあれはいったい何だったんだ。

勇斗は、オフィスの椅子で背もたれに
寄りかかり深々と座り込んだ。

さくらの居場所がわかり安心して
眠ってしまったら、
起きるとおまけがついてきていた。

真斗は何をしにきたんだ?

《母さんから逃げてきたんだ一晩匿って!!》

聞けば、大学院に進むつもりの真斗に
見合いの話をかなりしつこく迫って
いるらしい。
そう言われて無下に帰れとは言えない。
俺の結婚式にうっとりしていた母さんが、
真斗の結婚式を夢みるだろうなとは思う。

真斗と会って話をするのも久しぶりの
事だったし、それは良かったんだが。

あいつは珍しくペラペラとよく喋り、
さくらも妙にはしゃいでいた。

弟に嫉妬するほど落ちぶれてはいない……
と言いたいが、二人の仲の良さは
思っていた以上だったな

真斗がパリまで会いに行っていたとは
知らなかった。
俺の知らないさくらをあいつはたくさん
知っている。
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