花嫁に読むラブレター

 幼い子供が、母の慰めを求めるように、ユンはマイアの髪を、うなじを、その手で強く抱きしめた。首筋に、ユンの涙が触れて冷たい。

「――わたしの迷いを、レナータはわかっていたのよ。だから悪いのはわたしだわ。でも信じて、今は何も迷っていない。わたしはユンのすべてが欲しいわ」

 ユンは一瞬、体をこわばらせた。だが、それも束の間、水の中で酸素を求める生き物のように、ユンは強くマイアの体を引き寄せ抱きしめた。涙に濡れた唇が、マイアの細いうなじに押し当てられる。

 やがて、マイアの体を離し、しばらくの間無言でお互いの濡れた目を見つめていた。ユンが再びマイアを引き寄せ、むさぼるように何度も唇を重ねるまで。



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