花嫁に読むラブレター

「――ど、どう思う?」

 どきどきと高鳴る胸の鼓動を隠しながら訊ねると、ステイルは少しだけ眉を動かし、不機嫌そうに言う。


「どうって、何が?」
「結婚に賛成? それとも反対?」
「賛成も反対もないよ。そんなこと自分で決めることじゃないか」


 膨れ上がって、今にも破裂してしまいそうな風船のような緊張感が、いっきにしぼんでいった。同時に、ステイルから期待していた答えが貰えなかったマイアは、恥ずかしさから顔が熱くなる。

 ステイルに、反対されることを望んでいたし、心のどこかで期待もしていた。

 物心ついたときから、マイアとステイルは一緒にいた。そうせざるを得ない環境だったとしても、お互いそれが当たり前のように過ごしてきていたし、何より二人は特に仲が良かった。周りから、恋人だ夫婦だとからかわれるたびに、マイアはまんざらでもなく嬉しく思っていたものだ。ステイルだって、同じ気持ちでいるのだとばかり思っていた。だからこそ、ステイルではない誰かと結婚するかもしれないとわかれば、焦って自分に愛の告白でもしてくれるのではないかと淡い想いすら抱いていた。結婚に、反対してくれると、思っていた。
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