アイドル拾っちゃいました
 そんな、新婚みたいな甘い生活が始まって数日経ったある日の昼休み。俺はいつもと同じく同僚で悪友で、ベリーズファンとしては大先輩の川島と、会社近くのレストランでランチ中だ。

 夜だったら軽く2倍の値段はするであろうサイコロステーキを、俺達は嬉々として頬張っていた。


「神谷さ、このところすげえ機嫌いいし、定時で一目散に帰ってくよな? なんで?」


「それは前に言ったろ? ねこが可愛いからだって」


「そんなの嘘だろ?」


「嘘じゃねえよ……」


 俺的には嘘は言っていない。“ネコ”ではなく、“ねこ”と言ってるんだから。


「案外、頭の黒い“ネコ”じゃねえの?」


「それを言うなら“ネズミ”だろ?」


「そうだっけか?」


「そうさ。えっと、髪は黒じゃない。茶色だ」


「え?」


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