the number
その頃、僕は家から列車にのり30分かかる学校まで通っていた。
家庭は周りの家庭に比べると裕福で特になに不自由なく、生活していた。




僕の家はお寺で父が住職、母は小学校の先生で不自由ではなかったがある程度厳しい家庭ではあった。





家の近くに駅があるが無人駅で駅員もいなく、辺りは木々が生い茂ったいわば田舎町だ。




僕は毎回、列車に乗るたび、とても心地よい感覚になっていた。
一番好きなのは夕方、暗くなるかならないかの日の境目の時間帯、列車から外の景色を見るのが一番のお気に入りだ。







暗くなり始めた車内の蛍光灯は淡く光り、車内に乗っている人は3人くらい。
ボーとなるくらい静まり帰った車内は列車の走る車輪の音だけ。
外は木々がゆらゆらと揺れ、催眠術をかけられているかのように単調な動きや時間が流れていく。ついた頃には夢から覚めたかのような感覚になり、とても心地よい。






感受性が高いこの年齢、特有の感覚だったかもしれないが僕だけに許された特別な空間だと思っていた。











































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