the number
僕はさゆりに言われて改めてあの時、自分自身の行動に恐怖を感じた。













あのときそんなこと考えもしなかった。








たしかに冷静に考えてみればそうだ。







非常識な行動をしたことが異常ではなく、素手であのシートを破れることが異常だったんだ。







注意した時、もし襲いかかってこられたら一体ぼくはどうなっていただろう。













もしかしたら僕は今ここにいないかもしれない。




あのときも少なからず感じた恐怖がさらに大きくなった。





僕はさゆりに言われたあと3分ほど沈黙してしまった。












さゆりは大丈夫?と声をかけてくれたが僕はその間なにも言葉を発することができなかった。













ただ単に握力が強い男だったのか。









それとも何か鋭利なものを隠し持ってて破っていたのか。












それはいまになっては確かめようもない事柄だった。














しかし、たしかに言えることはあのときのあの男性は間違いなく異常であって正常な人には理解しがたい行動、そして何かに悩みながらもどうにもできない破壊的な衝動を持っていた人物であった。




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