オリガク! -折舘東学園の日常的(恋)騒動-

「どうなったかと見に来れば、やらかし過ぎ。チャンス逃し過ぎ。バカ過ぎ。愚鈍過ぎ。呆れて物も言えない」

「言い過ぎなくらいだよ!?」

「反論がないならさっさと着替えて帰るよ」


歩き出したミーアは制服だった。


バクに聞いて、わざわざ様子を見に来てくれたのかな。乗車するバス停、私と逆なのに。


「ミーアと付き合いたい……」

「うちはトラと付き合いたい」

「……いやいやいや。騙されないよ? いくら年下キラーのミーアでも今のは冗談だって分かるからね? ていうか虎鉄は絶対に経験済みだからね!?」

「よってトラは除外しろと」

「そ、ちっ……ああもう! 誘導するのなし!」


両耳を塞ぐ私をくすりと笑うミーアは、なんだかんだ1番の理解者だと思う。


「ま、心決めたら、真っ先にトラに言ってあげたほうがいいよ。なんたって盛大に怒らせたみたいだしねー」

「持ち上げてすぐ落とすのやめてほしい」

「ほら。見張ってるから着替えて。10秒経ったら帰るよ」

「それ着替えじゃなくて早着替え!」


カウントし始めたミーアに、急いで教室に入って着替える。もっとゆっくり数えて!と騒ぎながら、緊張でどきどきしていた。


嫉妬や、焦燥や、後悔で埋まった胸の、もっと奥。


あるよね? なんかこう、胸の底からぎゅーって苦しくなったり、弾んで踊ったりする、生まれながらにそれと知っているものが。


ありますとも。どうしたって消えなくて困ってたんだよ。


……うん、決めた。そして言ってやる。


虎鉄史上最高の彼女になるのは、私以外ありえない。



++
< 149 / 197 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop