ショコラ SideStory


 それからのあたしたちといえば、といえば特別劇的に変化したことはない。


「まずは住むとこでしょ。それから康子さんにはちゃんと改まって、もう一度言いたい」

「あたし、宗司さんのご両親に会ったことないわ」

「地方だから遠いんだよね。詩子さんいつか二日続けて休める日ある?」

「そこは親父に相談ねぇ」


お昼休みに時間を合わせて、こんな相談に花を咲かせるのが増えたことくらい。


「式、しろよ。こんなに綺麗な娘の花嫁姿見れないなんて惜しい」

「父さん、変態みたいよ」

「いえ。俺もそれには同感なので」


親父と宗司さんは、変なところばかり気が合って困るし。

まだまだ決めることもやらなきゃいけないこともたくさんあって、本当に結婚するのはやっぱりまだ先の話になりそう。

それでも、目標として見えているかいないかはまた違うみたいで。


「塾の勧誘も頑張ろう」

「勉強だけじゃなくて、たまにイベントみたいな企画を作れば? お菓子作り講座とかならマサにでも講師頼めるじゃん」

「ああ、いいね」


何事も前向きに考えられるようになったのはとっても嬉しい。


「早くお金貯めようね。ここまで話してから結婚はお預けとかあり得ないんだから」

「分かってる。俺頑張るし」


彼の「頑張るよ」に苛立つことももうない。

だって、私達は今、同じ目標に向かって一緒に頑張っているんだもの。


「年末をめどにご挨拶にいって、目標は来年中に結婚だからね!」


今年の年末は色々と波瀾万丈になりそうだ。






【Fin.】


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