ショコラ SideStory


「お待たせしました」

「ありがと」


マサくんの入れてくれたコーヒーを一口含んで顔をしかめる。

苦い。でも本来これが当たり前だ。
普通コーヒーはブラックでくるものだ。

隆二くんは私の好みの甘さまで砂糖を入れてからくれるからすっかり忘れていた。


変な顔をマサくんに見られていないか確認し、おもむろに砂糖を投入。
ようやく慣れた味になり安心して喉を潤す。


「康子さんがカメラいじってるの珍しいですね」

「ああ、まあね。明日の撮影で使うのよ。練習がてら撮ってあげましょうか」

「いえいえ、結構です。練習ならあまってるケーキとかどうですか? 奥でマスターがまた色々作ってますよ」

「あら、それは良いわね。ちょっとお邪魔するわ」


いそいそと立ち上がり、厨房を覗く。

いらっしゃいませ、と再びマサくんの声がする。どうやら新しいお客が来たようだ。

これならしばらくはマサくんが厨房に入ることはないかな。
邪魔モノなしでゆっくり隆二くんを堪能しよう。

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