悪魔のようなアナタ ~with.Reiji 2~
「……玲士?」
灯里の言葉に玲士は目を伏せ、無言でコーヒーを一口飲んだ。
そして目を上げたとき、その顔はいつもの冷静な玲士の顔に戻っていた。
「特に理由はないよ。一人暮らしの方が気ままだったから。それだけ」
「へー……」
灯里は首を傾げた。
――――なんだろう、何か引っかかる感じがする。
けれど玲士がこう言う以上、これ以上話す気はないのだろう。
見つめる灯里の前で、玲士は軽く息をついた。
「こんなところかな。あとは家に行ってから説明するよ」
「うん、わかった」
「ところで話は変わるんだけど。おれ、今月から7月まで、少し忙しくなるかもしれない」
「え?」
玲士の言葉に灯里は眉を上げた。
確かこの間は5月から時間ができると言っていたような気がするのだが。
眉根を寄せる灯里に、玲士は低いテノールの声で言う。