無自覚な指先【密フェチ】

「合わせてみます？」

「え？」


ほら、無自覚。私に手を差し出すなんて。

触れたら身体が蕩けそう……でも、触れたい。

ゴクリと喉を鳴らし、私は手を合わせた。


「……無自覚」


そう言ったのは、私ではなく彼だった。

声は掠れ、今にも抑え込んだ何かが溢れそうなほど苦しげ。


「……私が？」

「そうです」


彼は合わせた手をずらし、私の指の側面をゆっくりと滑り落ちていく。丸みを帯びた指先でスルスルと誘うように擦られ、肌がゾクリと粟立つ。


「手、合わせて……それから俺が何もしないと思いました？」

「――ッ」


指を絡め取られ、勢いよく引き寄せられる。彼の手が私の背に回り、指先がさわさわと撫でた。


「好きです」


囁かれた言葉と背中を撫でる指に、私がどれほど動揺しているか……。

彼はきっと、気付いていない。





【fin】