先生+生徒-学校【67頁】+【160頁】


「あ、先生。お母さん、起きたみたい。」

一階のリビングの辺りで物音がした。


『そっか。じゃ、挨拶して
プリント渡しとくから。』


「うん。また明日ね、先生。」


『おー、明日は学校でな、ユリ。』


なんでもないように、
サラッと先生が言う。


ときどき、

『私の自主性』なんて尊重しないで、

無理やり部屋から引きずり出して
くれればいいのに、とか思う。

いざそうなったら、
絶対全力で
抵抗しまくるとは思うけど。


受話器を置いて、数秒後にチャイムが鳴る。


しばらくして、玄関から
先生に挨拶するお母さんの声が聞こえ、

バタンとドアが閉まる。



電話を置いて、

急いで窓から
身を乗り出して玄関をのぞくと、

先生がこちらに気づいて軽く手を振った。




――私の親友のだいすきな人。



これは内緒の話。


親友には秘密。



手に入れた秘密を
ふたりに気づかれないように、


私はこれから、

うまくやらなければいけない。

心がふるえて、
わくわくするような、

やらなければいけない、ことができた。





先生が煙草に火をつけ、顔を上げる。



私は満面の笑みで、手をふり返した。





【ひみつのハナシ♪】了

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