《夕日塔番外編》 想いの裏側
低音ボイスだったが、ハッキリと聞こえた“断った”。


ホッと一息ついてると、遠藤が爆弾質問を野々谷にブチかました。


「ねぇ夕穂……もしかしてアンタ、まだ下河君の事好「やめてよ!!」」


親友の声をさっきとは正反対の甲高い声で遮る野々谷。


チラリと見えた横顔は、苦しさや切なさが入り交じった表情だった。


「私はもう………アイツの事なんかどうも思ってない……稚鶴だって“忘れろ”って言ってたじゃない……」


俯き加減で言い切った野々谷は、サッとどこかに消える。


遠藤と隠れているオレだけが、ポツンと取り残された。
< 99 / 123 >

この作品をシェア

pagetop