花蓮【完結】
学校に到着すると、駐輪場にバイクを止めた。

……今日で最後だなんて信じらんねえ。






それから静かに卒業式は行われた。



証書を受け取っても。
涙を流すこともなく。
あたしは生徒会長の答辞を聞いていた。



前にいる佐緒里に目を向けると、肩が少し震えている。
なんだかんだ感情豊かな佐緒里が羨ましくもなった。

あたしは涙すら出ないし、悲しいっていう感情に浸ることもない。




式を終えて、外へ行こうとしたあたしを呼びとめる声がして足を止めた。




「井上さん!」


「え?」



後ろを振り向くと、あたしのクラスの女の子達。
あたしを呼びとめたのに、中々話しださない。



「何?」


あたしがそう言うと、一人が少し躊躇いがちに話した。


「あ、卒業おめでとう。
ずっと、井上さんカッコいいって憧れだったの。
写真…撮ってくれないかな?」


「え?あ、うん」





隣でにやにやする佐緒里にキックして、あたしはその子達と写真を撮った。
ありがとうと、言われて握手して。


手を振って彼女達とさよならをした。



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