花蓮【完結】
怒りが沸々とわき上がった。

爪が食い込むまで、拳を強く握りしめる。


その時。


じゃり…




あたしのすぐ後ろで音がした。






「誰だ!?」





あたしは思い切り振り向くと、そこにいたのは見覚えのある子だった。




……あ、あたしに絆創膏とか持ってきた後輩だ。

名前は、なんだっけ。


……かりん?だっけ。



あの後、佐緒里から聞いたんだ。







「あ、の、麻美さん…」


「…これ、光がやったのか?」


「……」






震えながらコクコクと頷くその子。

やっぱり、光。



怒りでどうにかなりそうだった。





「光はどこにいる?」


「あ…え、と…これ…」





一枚の…紙?


あたしはそれを受け取って内容を読むと、ぐしゃりと紙ごと握り締めた。









【はぐれ倉庫で待ってる。
あんたの大事な後輩もね
     凛】






「………凛の野郎」
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