不思議電波塔
ユニスが、ルナとリュールの話の続きを語った。
「ルナの言葉の通り、王家同士の繋がりは少し特別なものがあります。民は王を望みながら、一方で君主制を嫌いますから、ひとりの王があまりに強い力を振るうと、それについてはいけない民の不満は高まります。現カウフェリン・フェネスで完全な君主制であるのはフォーヌが挙げられますが、その体制が崩れかかっているのが今です。アレクメスやリオピアも王はいても君主制というわけではありませんから、時に王という立場であっても強い力に飲み込まれざるを得ない時があります。それで、王家同士で支えあっている部分もあるのです。リュールの進言でアレクメスに逃れてきたルナに会った私は、イレーネとフィノ様に力を借りられないだろうかと願い出ました。ルナの身が保護され、フォーヌの軍の考えていることを止めるまでが迅速だったのは、フィノ様とイレーネの力があります。リオピアの力だけではそれは不可能だったでしょう。フォーヌとの確執がないアレクメスなら、フォーヌの動きも掌握しやすいからです」
どのような経緯でカウフェリン・フェネスの綻びが大きくなっていったのかは、理由はひとつではないのだ。
幻獣の覚醒で人々の精神に良からぬものが伝染病のように感染していった集団心理も起因してはいるが、フォーヌとキトネシスの有力者の企みや、その思惑に利用されたリオピアの者がいること、アレクメスの王の死に暗殺の疑いがあること──それは不特定多数の人間の心にそれだけ良からぬものが最初からある状態だったのだというのでもなければ、説明がつかない。
誰が悪いのだと論議をしている発想そのものがおかしいのだ。
「人の心が穏やかなら、幻獣は目覚めることもないって、じーちゃんは言ってた。その幻獣が覚醒しているのが、もう、この世界にある人の心根がどんなものかを表しているよね」
ジャスティが静かに言う。カイが「お前が責任感じる胸を痛めるようなことじゃないだろ」と言った。
「人のことを思いやれる奴はそれでもいるし、人の良心に任せるしかないこともあるってことだろ。ただ人の優しさにつけこんで自己犠牲を強制するような搾取の仕方をする奴もいるから、そんな奴らの言いなりには絶対なるなって話で。つけあがるだけだ。そんな奴ら」