年下の不良くん

お節が出来て食べていると、玄関の開く音がした

「あ、パパだわ」

と呟くと、リビングのドアが開いて、翔くんのお父さんが帰ってきた

「あ、お邪魔してます…」

立ち上がり小さく会釈して顔を上げると、お父さんはニコニコと微笑んだ

「あ、例の翔の彼女かい??」

「はい」

どうやら、私の存在は二人の耳に既に入っていたらしい

「そうなのよ、パパ
とっても良い子でね、翔には勿体ないの」

さっきから、こんな風に誉めて貰ってるけど、私はそんなに良い子じゃないよ…

「そうか
…うん、見るからに良い子そうだ
よくうちのアホ息子が相手にされたな
何か裏でもあるんじゃないか」

「んなのねぇよ、バカ」

「りりかさん、これで良いのかい??」

「はい、勿論です!!」

ブンブンと首を大きく縦に振ると、お父さんは豪快に笑った

「はははっ、そうか
まぁ、こんな奴だが、良くしたってやってくれ」

「はい」

とても、笑顔がよく似合うお父さんだ

この両親だからこそ、あんなにいい息子が二人も出来たのだと納得する

こんな家族、良いなぁ…

別に母親だけだったから、と悲しい思いをした事はない

父親がいない分、母親は沢山の愛情を私に与えてくれた

だけどやっぱり、子供と言うものは、両親の愛情が欲しいもの

だから、父親はいるがいないも同然の私には、羨ましかったりするのである

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