年下の不良くん

「何言ってんの
俺も行くよ
帰り道、わからないでしょ」

「え、でも仕事が残ってるんじゃ…??」

「終わらしたよ
だから、心配いらないよ
というわけだから、一緒に行こうか」

「はい」

停車していた車のエンジンがかかる

「…りりかは、遠慮がちだよね
さっきも、一番安いもの頼んでたし」

「えっ!?」

端整な彼の横顔を見つめる

バレてたのか…

「…だって、値段が可愛くなかったから…」

「ふはっ!!
何だよ、それ!!
そんなの、気にしなくてもいいんだよ??」

「それはっ、出来ないですよ…!!
ご馳走になって、今もこうしてスーパーに寄って貰って、いろいろお世話になっているのに…
それに、年上の方なので、気も使っちゃいます…!!」

「…んー、それなら俺を同年代の奴だと思ったらいいよ
それなら、気も使わないでしょ??」

「………」

「敬語を使ったりするから、しんどいんだよ
気を使うの、これから禁止ね
なんだか敬語は、仕事で聞き飽きてるから、やなんだよな」

「……わかりま、じゃなくて…わかった」

「うん、それなら俺も楽だよ
あ、着いたね」

この人は、こんな若いのに社長になる意味がわかる

人の心を動かすのが長けている

無理矢理でもなく、ごく自然とそうさせる力は、仕事で得た物なのか、それとも天性からの物か…

どちらにせよ、これは人を嫌にさせずに出来るのが素晴らしい

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