年下の不良くん


彼女の形に空いた心の穴は、何をしても塞がることはなかった


りりかと違う女といても、いつも頭を過るのは楽しそうに笑う、りりかの顔


遊ぶ女の行動がいつの間にか、りりかと対比してしまう自分がいて、更にいらいらが募った


だからもう、女と遊ぶのはやめにした


そしてそのいらいらの鬱憤を晴らす為に、喧嘩に明け暮れる日々が始まった


その度に増える傷を見つめて、自分が喧嘩で作る傷で、いつもりりかが痛そうと、本人の傷でも無いのに顔を歪めていたのを思い出す


彼女との思い出がありすぎて、何もかもが虚しく悲しくなるだけであった


そんなときだ

武蔵に無理矢理、学校に強制連行されたのは


すぐにこの弁当を渡す為にか、と思ったが、何故か虚しかった気持ちが和らいだ


懐かしい、愛しい者の作った弁当


一度はりりかと会えない学校等と毛嫌いし、学校を行くことをやめたが、何故か今はこの弁当のおかげで学校が楽しみで仕方がない


たまに見かけるりりかは、いつも変わりなく楽しそうに笑っている


“その笑顔をまた隣で──”と欲が出るのを、毎回、頭を振ってそれを拭うのである


叶わない夢をみるのが、最近は常となってきていた


だけど、彼女のことを考えるときだけ、自分の心が落ち着くのだ



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