年下の不良くん
第三十九章


───春休みが終わる数日前……


私はまた、春樹に引っ張られて強制的に、彼の会社に連れてこられた


彼の会社に行くことは、私の中で日常茶飯事となっていた


春樹は家に忘れ物をよくする為、私にそれを持ってくるようにと頼むからである


だが、一人で会社に赴くのは、高校生の私は場違いで浮いていて、早くもその場から立ち去ろうとする私を、春樹がいつも邪魔をしてしまい、結局は長居をする羽目になるのだ


そのため、最近はどこに何があるのか、大体を把握していた



大きなビルの正面に爽さんが車を止めてくれ、二人で中に入ると、まずは受付嬢からの熱烈な挨拶が飛んで来るのは、毎度のこと


彼女達からすれば、隣にいる私は視野に入らないらしい


「あぁ、お早う」


春樹は会社に入ると、雰囲気ががらりと変わり、いつもの陽気な彼ではなくなる


彼が言うには、大きな会社のトップというものは、社長の威厳というものが大切らしいのだ


秘書の爽さんと、大学からの後輩の橘さんは、例外なのだとか…


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