年下の不良くん

Side 翔



「じゃあな、翔」


「おう」


かったるい授業も終わり校門で武蔵と別れると、俺はイヤホンを着け寄り道もせずに家路につく


授業態度は宜しくは無いが、自分なりに少しずつ授業に出るようにしていて、萩原は俺に関心を向けていたりもする、今日この頃


本音を言えば、眠たくなるだけの授業など受けたくもないのだが、少しでも彼女に振り向いてほしくて、休み時間はわざと校内をブラブラとしている


ぱったりと、何の音沙汰もなく無くなってしまった、彼女の手作り弁当


わざわざ萩原に聞くのも釈な為、聞きたくても聞けずにいるのだが…


それよりも、最近は廊下で彼女を見かけたことがない…


武蔵にそれとなく尋ねると、学校には来ていると言っていたが…


かれこれ考えはじめて数週間、俺の悩みと想いは消え失せることは無かった


「…はぁ……」


深い溜め息しか出ない自分に、溜め息をつく度に運が逃げていくかもしれない等という、しょうもない冗談が浮かび鼻で笑った


ここはやはり、役立たずの武蔵よりも、優美ちゃんに聞く方が確実な気がするのだが…勇気が出ない…


俺がヘタレだからフラれたのかもしれない…


ネガティブ思考を拡散していると、ちょうど自分の隣に車が停車したのをチラリと確認する



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