年下の不良くん
第四十八章
「──えっ!?
お父さんが翔くんに会いにきたの?!」
梅雨に入ったのだが、翔くんは雨の中傘もささずに来てくれた為、彼が好きなカフェオレを暖かくして手渡すと、有り得ない話を聞いて驚いた
なんと、父が直々に翔くんに会いに来たと言うのだ
あの冷徹で他人のことなど興味を湧かすことはなく、なおさら娘の私など見向きもしない人がいったい何故…??
「りりかが戻ってくるから、嫌がらずに迎えてやってほしいって」
「………本当に、私の父が言ったの…??」
私が不信な顔をすると翔くんは頷いて、出来立ての熱いカフェオレをちびちびと飲んだ
「ん??
あぁ、多分あのおっさんで間違いねぇと思う
りりかと同じ目をしてた」
“目"…か…彼の言っている事は、間違ってはいないだろう
私の瞳の色は産まれた時から、周りの人との瞳の色が違う
普段はよく見ればわかる程度の深い藍色なのだが、太陽の光などに照らされると藍色になるのだ
母が生前、唯一、父親の事で教えてくれたのがこれであった
“この瞳の色は父親と同じなのだよ"、と母は私の頭を撫でて微笑んでくれた
当時は父親の顔すらも知らなかった為に、母親譲りのこの顔に父親の面影がある事を知り、まだ幼かった自分は喜んだものである
まぁ、期待と掛け離れた父を見たときは、絶句したものだったが…
だけど、父が何故この色の瞳をしているのかは知らないままである
考えるには、父の肉親に外国人がいるのだろうということだけ