年下の不良くん
車に乗せられて数十分、やっと車が大きな家の玄関で停車した
運転中、車の窓から外景色を伺っていたのだが、全くわからない道で今が何処なのか全く検討も付かない
女性に引っ張られて大きな玄関に入ると、メイドと執事が並んで挨拶をしてきたので、翔くんと顔を見合わせて驚いた
本当にドラマみたいな事が、現実にもあるのだなと感じる
和風のこの大きなお家は目の前に座っている女性とマッチしているのだが、私と翔くんはどうも場違いの様な気がして、さっそく帰りたいという衝動にかられた
メイドが人数分の紅茶を用意してくれると座敷を去っていき、やっと詳しい会話が出来る場が出来上がった
「そう言えば、私の名前をまだ名乗っていませんでしたね
芦田春美(アシダハルミ)と申します
貴方の父親の妻です
よろしくね」
「えっ…?!」
ニコリと芦屋さんは微笑むのだが、あまりにも衝撃的な発言に、私は逆にポカーンと間抜けな面をさらす
「ふふっ、そんなに驚いたかしら??」
「はい、とっても…」
「…貴方にはとてもお会いしたかったのよ
そして、貴方のお母様にもね」
そう言ってまた何処か遠くを見つめるこの女性は、私よりも何かを深く知っているのだろうと確信が持てた