年下の不良くん


夕方前に優美と武蔵くんは、久々に会った私と翔くんに気を遣い、引き止める私を断って帰っていった


今、家にいるのは翔くんと私だけ


「別に気にしなくても良かったのにね〜」


ソファーに腰掛ける翔くんの隣を、私も同じように座る



「まぁな
…けど、やっと二人っきりになれたし俺的にはラッキーだけど??」


そう言って顔を近付けてくる翔くんの胸を、私はぐっと反対に押した


「もう茶化さ無いの」


「…んだよ…りりかは久々なのに嬉しくないの…??」


出ました、彼の必殺技


どうやらこの必殺技は使い分けがあるらしく、滅多に見る事は出来ないけれど、偶に出されると私の心は大きく揺さぶられる



「うっ、嬉しいよ??」


「ん、そか」


そして優しく抱き締められて、私の心臓はもうバクバクで、胸がきゅーっと締め付けられる



だけど彼の腕の中が一番、落ち着く…



「──翔くん、好きだよ」


無性に今、伝えたくなった…


「……俺も」


耳元から聞こえた返事に、私の胸はより一層きゅーっとなった


きっとこの胸を締め付けるような、でもそれが嫌じゃないと感じてしまう、そんな気持ちになるのは翔くんだけだ


この想いは、決して変わらない──








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