お姫様は最強です



「─…竜也!」

 勢いよく、竜也の部屋の扉を開けた。

 しかし、その扉の向こうには、上半身裸で驚いた顔をしている竜也が……。

 上半身裸……。

 ハダカっ?!

「わぁっ!ご、ごめんなさい/////!」

 急いで扉をして、その場にしゃがみ込む。

 うわぁぁあ……/////

 裸見ちゃったよ……。

 着替えるって言ってたのに、なんで私開けちゃったのよぉ…//////

 でも、なんかスッゴい大人っぽかったな……。

 軽く腹筋割れてたし、肌もスッゴい綺麗だったし……。

 って!

 なに変なこと考えてんのよ!

 恥ずかしぃ………//////

「おーい、着替えたぞ?」

 中から声がしたので立ち上がる。

 ……なんか、顔あわせずらい……。

 だって裸見ちゃったんだもん//////!

 ──ガチャッ…

「何1人で漫才やってんだよ……。」

 なかなか入ってこない私に、竜也の方から扉を開けて中に引っ張り込んだ。

「わわわっ……!」

 勢い余って転びそうになる。

 でも、竜也が腕をしっかり掴んでいてくれたので転ばずにすんだ。

「あ、ありがと……。」

「いや、別に……。でっ、何だ?」

 あっ、そうだった!

「えっと…は、裸見ちゃってごめんなさい!」

「は?」

 だあああぁぁーーーーーーー!!

 ちっがぁぁぁぁぁぁう!!

 なんてこと言ってんだ私!

 言いにきたのはこの手紙のことだろ!

 でも、謝らずにはいられないのが事実……。

「ごめんなさい!別に見るつもりはなかったんだけど…その……///」

「…ぷはっ!…わははははは!!!」

「えぇ……?」

 私が必死に説明しようと頑張っていると、竜也が突然笑い出した。

 何?

「…くっくっくっ……なんで謝るんだよ…はぁっ、可笑しぃ……くははははは!!!」

「…うぅ……だって…////」

 見ちゃったんだから謝らないと……////

「…フハハハ……はぁ…別に男の裸見たところで謝んねぇだろ…夏なんか海に行ったらみんな上半身裸だよ……なのにこんだけ謝るとか………あははははは!!!」

 どうやらツボにハマったらしい。

 どこがそんなに可笑しいのよ///

 こっちはいたって真面目なのに…/////

「あははははは!!!」

「もう!笑わないでよ!」

 私はさっきよりも恥ずかしくなって竜也につかみかかった。

「…くくくくっ……うわっ!痛えよ…!ちょっ…やめろって…!」

 勢いよく飛びかかったため、竜也は体を支えきれずに倒れてしまった。

 そんなことお構いなしに竜也につかみかかる。

「ふはは…!…ぐっ!痛っ!…おい、それはダメだろ!」

「うるさい!笑うのやめるまで離さないんだから!」

「分かったって!ほら、離せ!」

 やっと笑うのをやめたので竜也から手を離し、頭を上げた。

 すると、すぐ目の前に竜也に顔があった。

 ちょっとでも顔を前に出せば、唇が当たってしまうくらいの距離。

 突然のことで胸がドキドキと音を立てる。

「あっ…!ご、ごめん/////!!」

 我に返ると、急いで竜也の上から飛び退いた。

「…だ、大丈夫………////」

 竜也も結奈が退いたあとに、顔を片腕で隠しながら起き上がる。

 二人とも、目を合わすことができず、しばらく沈黙する。

「……あっと…なんか用事があったんじゃ…ないのか?」

 私とは、反対の方向を向いて竜也が言った。

 そうだった……

「うん……あのね、お母さんが私のベットどこかにやっちゃって…竜也と一緒に寝ろって手紙が…………。」

 さっきのことを意識してしまっているのか、最後の方が小さくなってしまった。

「マジか………」

 竜也は私の言葉を聞いたあとに、そう言って頭を抱えた。

 そうだよね……

 私と寝るなんて嫌だよね……

 学園の人気者がこんな奴と一緒に寝たくないよね………

「…大丈夫だよ!お母さんからこんな手紙きてるけど、私はソファーで寝るから!竜也は自分のベットでゆっくり寝ていいからね!じゃあ、私は着替えてくるから!」

 ダメだ……

 こんなこと言ってるくせに涙が出てきちゃう。

 泣いたらダメだ。

 竜也に迷惑をかけてしまう。

 そう思った私は、急いで部屋から出て行こうとした。

 顔を見られたくなくて、迷惑をかけたくなくて……。





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