光の射す方へ


私が出勤してから、5分後。


歩太が店に入って来た。



「宝来くん、おはよ〜!」




歩太は相変わらず、挨拶をしない。




その時、私はふと周りを見た。



そこに居る誰もが、歩太の事を見ようともしない。




明らかに、いつもと違う空気が、流れ出している。



「ちょっと、美月!挨拶くらいしよ〜よ〜!」



私が、笑いながら美月に挨拶をする様に言うと、


「何であんなヤツに挨拶しなきゃなんないの〜?」


美月は、頬を膨らませながら、そう言った。



「リカちゃんも、あんなヤツ、構わない方がいいよ?」



みんなの言っている事を理解することが出来ずに、私はそのまま、その場をやり過ごした。




.
< 20 / 254 >

この作品をシェア

pagetop