光の射す方へ


私は、本当に幸せなのかもしれない。



自分の為に涙を流してくれる友達がいる。




私、歩太の事頑張るよ。



美月をがっかりさせない様に・・・。



簡単な気持ちなんかじゃないから。






私達は、先に着替えをして、圭太を待つ事にした。


更衣室を出ると、圭太が来ていた。



「圭太、昨日、ぶっちゃって、ごめんね。」


圭太は黙ったまま、俯いている。


そして、静かに口を開いた。



「リカちゃん、本当にアイツの事、好きなの?」


私は、小さく頷いた。


「そっかぁ。・・・ごめんな。

俺、ヤキモチ焼いてたんだ。


リカちゃんの事、・・・好きだったから。」


私は、ハッと顔あげた。


「でも、絶対に、言っちゃいけない言葉だった。


宝来には、・・・謝るよ。」



圭太が言った言葉は、絶対に許される事じゃない・・・。



歩太の心の中で、一生、傷として残ってしまうだろう・・・。


でも、いつか傷が癒える時がくる。



それは、誰かを愛した時。



誰かに愛された時。


必要のない人間なんて、いない・・・。




「圭太。歩太は私にとって、必要な人だから・・・。


圭太の気持ち、気づかなくて、ごめんね。」



私は、まっすぐに圭太の目を見た。


圭太も、目を反らさなかった。




.
< 95 / 254 >

この作品をシェア

pagetop