触れる指、乱される心

「……秀?」

「ずっと、凛に触れたいと思ってた」


真っ直ぐに見据えられて、さらに鼓動が加速していく。


ゆっくりと近づいてきた秀の顔。

さっきまで秀の指が触れていた私の唇に、秀の唇が重なった。


「凛は俺の指にしか興味ないのかと思ってた」


触れそうなほど近くで、秀の唇が動く。


「……私は、」

「いつも俺の指ばかり気にしているみたいだったからさ」


顎をとらえていた指が、私の髪の毛に触れて、秀の胸の中に引き寄せられる。


「秀の指が、ピアノ以外に触れてるところ、見たことなかったから」
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