地球の三角、宇宙の四角。
しばらくすると、「あー! マキちゃんダメでしょー」と松波さんが入ってきた。

「ここマキちゃんの部屋とちがうでしょー」

「マキちゃんの部屋、ちがう」

「そう、マキちゃんの部屋はあっち」

「マキちゃんの部屋、あっち」

マキちゃんは松波さんの手を取って、ふわりと地面に降りた。松波さんは持っていたカバンを台の上に置いて「ごめんなさいね、術着ここに置いておくので、着替えといて下さいね。すぐ戻ってきますから」と頭を下げている。

青い服の入った袋を眺めていると不安で一杯になった。手術をしてはダメだというたくさんの人の助言の声が水滴のように次々と頭の上に落ちていく。

「マキちゃん綿菓子つくる?」

「マキちゃん綿菓子つくる」

そんなやりとりを眺めながら手を繋いだ2人は、いつのまにかこの部屋から居なくなって部屋には誰もいなくなった。

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