地球の三角、宇宙の四角。

表に数字を打ち込んでいくだけの簡単なお仕事は、驚くべき事に半年ごとに、その内容が変わる。

それに長くても3年ごとにフロアや部署の異動があるらしい。

と、先輩はみんな言うし、実際に私の好きな山田課長は三ヶ月前に本社へと行った。

「山田課長おめでとうございます! 出世ですね」と話しかけた私に、課長は苦笑いをして頭をかいていたっけ。


そう、アルバイト、派遣含む何人かの合同送別会がありまして、課長がトイレに行っている時の事。

山田課長が席を立って見えなくなった途端に堰を切ったように殆どの人が、山田さんは仕事が出来ないだの遅いだの、臭いだの顔が曲がってるだの愚痴やら文句を、口々に言い始めて盛り上がりだした。

山田課長Disってんじゃぁねぇよ!

山田課長はね、不器用で飲み込みの悪い私に対して出来るようになるまでゆっくりと仕事を教えてくれた人だ。
尊敬をしている。
その人のことを、居なくなったとたんに悪く言うみんなが、兎に角ゆるせなかった。

だが、それを冷めた焼き鳥をほうばりながら愛想笑いで聞くことしかできない自分が、もっとゆるせなかった。

なにも出来ない私はなんてつまらない人間だろうか。

冷えた焼き鳥のようだ。

くそうくそうと固い鶏肉を噛むと、竹串まで噛んだ。

「あ“べぇ」

とか変な声が出た。

そのことにより、山田課長への批難中傷の話題は止まったのだった。

(´-`) ケッカオーライ!


それにしても、他人の評価というのはわからないものだ。


その夜に、気がついたことが、もうひとつだけある。前歯が少しだけ欠けていたんだ。

どんだけカルシュウムが、という話だ。

養命酒サワーうまーい! ウェーイ!!
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