地球の三角、宇宙の四角。

名前を叫び、エレベーターのドアを両手で叩くと、またチカチカと照明が点滅し『圧縮空気チャージ完了、高圧電源に切り替わりました。手すりにつかまって下さい』というアナウンスが流れた。

全てのボタンが赤く光り、ドンと地響きが鳴って視界がズレる。

額が床に叩き付けられて、倒れ込む。

全身の血が床に集まっていく。

起きあがることも出来ずに視界がドンドンと狭くなる。
しっかりしなくちゃと思うたび、視界は広がるが、また狭くなる。繰り返していくうちに、やがて視界は明るさを失って薄紫色になっていく。手に握ったメガネ。

幸村さんから、貰ったメガネ。

このメガネをなくさないようにと、ブラジャーの中へと差し込んだ。

チカチカと点滅していた照明が、正常になりエレベーターが徐々に減速しはじめていった。

チン!

『到着しました』

ドアが開くと黒い革靴が見えた。
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