地球の三角、宇宙の四角。
「課長に怒られて、残業したんだけど、1人じゃとても終わりそうもない量だったので、はゆみに手伝ってもらったんだけど……もしかして、はゆみ、そこも覚えてない?」

覚えているとか、いないよりも、私の覚えていることとまるで違うということを伝えるべきかどうか迷う。

「課長に怒られたのは、さおりん? 私?」

「ん? あっしだけど?」

「そ、そうなの?」

「そうなのって……」

そう言う目で見るのはやめて欲しい。

「……それで、さおりんに私が話をしたのは、3人の時に?」

「いや、課長が帰ってからすぐだよ」

「何時ぐらい?」

「ええ……っと、8時過ぎに課長が帰ってからだから、8時半とか、それぐらいかな」

「どんな内容?」

「どんな内容って……」

さおりんのした話は、ほぼ昨日の私の記憶通りの物だった。

昨日のやりとりは確かにあったのだ。ただそれが、場所とわずかな時間、食い違っているだけ。信じられないし、信じたくもないが、そういうことなんだろうか。

「ありがとう。さおりん、さおりんに話したことは思い出せた」

「そうか、じゃぁさ、とりあえず目を通してみてよ。一生懸命作ったんだから。作ったと言っても、印刷しただけなんだけどさ。たはは」

「ありがとう」

パラパラとさおりんの資料を眺める。ワームホールについて、ローゼンブリッジ、11次元、宇宙ひも理論、黒い物質の正体と小規模のブラックホールによる時間移動について。2038年問題。CERN(欧州原子核研究機構)による小規模ブラックホールによるタイムマシン理論の論文。「IBM5100」について。ゼネラル・エレクトリック社とオーパーツテクノロジー社の統合。……ウチの会社?


「これ、何?」

さおりんに、問いかける。


「これ? 順番はバラバラなんだけどさ、ほとんどが、平純一のサイトとそこからのリンクなんだけどさ、結構苦労したんだからー」

「たいらじゅんいち?」

「そう、黒い物体にとりこまれる。そして消えるという話、昨日してたでしょ?」

「うん」

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