地球の三角、宇宙の四角。
ドアが開いた音がして、お疲れ様ですというみんなの声に釣られて私もお疲れ様ですと顔をドアの方にやると

「木下、昨日頼んだヤツ出来た?」

と、営業から帰ってきた庄谷 奏多(しょうたに かなた)が真っ先に私に聞いてきた。

コイツのことは、偉そうだから苦手だ。
奴がこの部署に来て三ヶ月は経つがコイツだけはどうも馴染めない。

「え? なんですか?」

と、ぼんやりと目をあわしに行くと昨日、電話で頼まれていた書類のことを思い出して血の気が引いた。

何か忘れてるなぁなんて思いながらも、今日は一日中“オツモール”という巨大非リア充サイトのネットノベルのコーナーで『しょうゆ』という徘徊老人がコンビニに醤油を買いにくるという書き出しから始まるBL小説を見つけてしまい。

少しだけと思って、読んでしまっていたんだ。

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