夏とおじさんとアイスクリーム
【K&Rアイスクリーム】
Kは、僕の名前キイチのKだったRは、おじさんの良一のRだった。
この秘密は、おじさんと僕しか知らない事を暗示した店名だった。
お店に入ると若い女の人がいらっしゃいませと言った。
見ると白いエプロンを付けた二十代半ばくらいの綺麗なお姉さんだった。
おじさんは、人を雇うなんて言っていなかったので僕は、びっくりしておじさんは、居ますか?とだけ言った。
おじさんは、奥から出て来ると笑いながらキイチ良く来たなちょっと外に行こうかと僕を半ば強引に店の外に連れ出しながら女の子に由美ちゃんちょっと頼むねと言った。
二人で店の裏手に行くとおじさんは、興奮気味に言った。
「キイチどうだ由美ちゃんどうだ。二十七歳だってよ。」
僕は、少しうんざりしながら答えた。
「綺麗だけど、僕から見たらばばあだよ。
ひどいよなぁ僕に内緒で女の人雇うなんて。
それにあの人におじさんアイスの秘密を言ったの?」
「キイチばばあとは、失礼だな。
お前の母さんよりよほど若いぞ。
いや、今のは母さんには、内緒だぞ。
それとどうしてもアルバイト雇わないとおじさんが指を吸いながら接客ってマズイじゃないか。
それにな由美ちゃん変わった人がタイプなんだってさ。
お前が高校生になれば二人でアルバイトしてもらってゆくゆくは、お前を共同経営者にしたいがお前にも夢があるだろうからもう少し大人になって考えたらいいよ。
もしかすると由美ちゃんとお前と俺の三人で共同経営ってのもいいなあ。
そうするとK&R&Yアイスクリームだな。」
おじさんのこういう子供ぽいところが僕は、嫌いではなかった。
むしろこういうところが好きな気がした。